ごあいさつ Message
創立100周年を迎えて
理事長 末廣照純

本学園は大正14年12月に旧制駒込中学校として認可され、来る令和7年12月に創立100周年を迎えます。学園の濫觴は、天和2(1682)年に了翁禅師により上野不忍池の畔に建立された経蔵文庫が、上野寛永寺山内に移されたのを機に創建された勧学講院です。明治維新以降は、上野から駒込千駄木(現在地)にあった大保福寺の境内に移転し、天台宗中学、天台宗大学となりましたが、大正14年に大学は大正大学に合流し、中学は千駄木の地に残って駒込中学校として設立されたのです。爾来、本学園は伝教大師最澄上人の教え、「自分の生きている所(一隅)において、自分のなすべきことをしっかりと果たしてゆく(照らす)人間になろう」。つまり「一隅を照らす」精神を「建学の理念」として次代を担う人材の育成に努めてまいりました。
この間学園は戦中の空襲による校舎の焼失、戦後の復興、女子部の開校、男子部、女子部の共学化、中学棟、高校棟の建設、比叡山研修の開始など、時代を反映した歴史を刻んでまいりましたが、どの時代においても天台宗寺院、関係宗派寺院、玉蘭会、同窓会、後援会、一隅会など、学園を支える皆様の温かいご支援をいただいてまいりました。この度の創立100周年記念においても、種々の事業を計画しております。このため皆様にはあらためてご寄付のお願いをすることとなりました。何卒ご理解とご協力を賜わりますよう宜しくお願い申し上げます。
創立100周年・駒込教育
—世界の教育改革の流れの中で!
学校長 河合孝允

2015年、OECDは激変する世界の子供たちに向けた新規の教育プロジェクトを立ち上げた。それが「Education2030プロジェクト」である。キーワードは「コンピテンシー」である。このコンピテンシーとは次のように定められている。「ある職務または状況に対し、基準に照らして効果的、あるいは卓越した業績を生む原因としてかかわっている個人の根源的特性」と。そして、その国際的な学習到達度テストを「PISA」と呼ぶ。Programme for International Student Assessmentの略称である。国やカリキュラムの違いを超えた国際標準の学力調査を開始した点に、このPISAの持つ重要な歴史的意味がある。そして本邦においてスタートしたのがこのPISA型学力養成のための「中高一貫校」の立ち上げであった。本校も21世紀ミレニアム改革の一環として併設型中高一貫校の申請を行い、認可を受け、Science Technology Engineering Art Mathematics という、いわゆるSTEAM教育を行う理系先進コースや、グローバル教育を行う国際教養コースを立ち上げて、創立100周年を迎えようとしている。本校はこれからも21世紀後半の「テクノユートピア時代」の心の教育を力強く推進していく。「慈悲・利他心」を中軸に「そこになくてはならない人間の育成」を図っていく。そして、信頼され慕われ敬愛される若者たちを育成していく。人工知能時代であるからこその心の教育である! 駒込イズムとは時代精神を果敢に取り入れた「若者イズム」と同義語である。