校長挨拶

平成30年度入試結果について

昨年度(29年度の春)、高校は学則定員を大きく上回る入学者を迎え、「パネルハウス」の増設でのスタートでした。今年(30年度入試)は行政当局からの「学則定員に戻すように!」との強い「要請・指導」を受けての募集活動となりました。したがって、昨年の応募者1400名のうちの半数を占めた「アドバンス本科」の募集を停止してのスタートとなりました。具体的には「理系先進コース(偏差値71)」、「国際教養コース(偏差値70)」、「スーパーアドバンスコース(偏差値69)」の「3コース」に絞っての入試となりました。これは当然、苦戦覚悟のスタートでした。しかし「徳は孤ならず必ず隣あり」と申します。「駒込がそういう事情なら協力しよう!」という受験界の有志の皆様方が次々と手を差し伸べて下さり、望外の結果をいただくことが出来ました。受験者は1100名を越え、学則定員360名を94名越えた「454名(11クラス)」をいただくことができました。教職員一同心より御礼申し上げます。(また今年も行政当局から苦情をいただきますが…)

本校には終戦の焼け跡の中から「祖国復興・学園再興」の努力を積み重ねて来た先人達の苦闘の歴史が刻み込まれています。「自分は煎豆一升を腰にぶら下げ、それを食べながら九州から東京にすし詰めの列車を乗り継いで、広島の惨状に涙を流し、必死の思いでたどり着いた」という先輩教員もいました。そして、先輩達の祖国復興・学園復興に寄せた熱い想いは「本校に縁のあった生徒は全て立派に育て上げる」という『駒込スピリッツ』となって受け継がれて来ました。「たとえ『発達障がい』の生徒でも、縁があって受け入れたかぎり、排除するのではなくその子の個性として受け止め、差別せずに指導に全力を尽くす」という精神となって、教職員一同の「心構え」となって受け継がれています。本校は「利他の心」を「建学の精神」とする仏教系私学であるからです。休み時間は生徒たちで職員室があふれかえっています。特に中学職員室はそうです。屈託の無い明るい瞳の輝きが宝物です。地元の保育園の児童達も定期的に先生と一緒に遊びに来て校長室が占拠されています。本校は地元に開かれた、そして同時に地元に支えられている学園なのです。

中学入試も高校に連動して今年も賑やかに楽しく展開することが出来ました。本校の中学入試は小学生の生徒自身に「ぼく・わたし、駒込に行きたい」と言ってもらえる入試活動を心がけています。親子での「給食試食会」は家族でおいでいただき、エスコート役はPTAの保護者の皆様が請け負って下さいます。理科実権教室でペッパーと遊んだり、クラブ体験会では在校生のお兄さんやお姉さんの指導を受けて一日楽しみます。また、本校は伝統校ですので、春休みには「駒込杯争奪少年剣道大会」が開かれ首都圏の剣道場から1000名を超える来校者でにぎわいます。このようにして育つ子供たちの「純粋な気持ち」としての「学校選択」は何物にも替えがたい宝物です。また、そういう子供の気持ちに寄り添えるご家庭を本校は大切に考えています。親の欲得はどうしても偏差値の少しでも高い学校に傾きます。そのとき、少しの勇気を持って「行きたい学校に行きなさい」と言って励ますことの出来るご家庭と本校は絆を強めて行きたいと考えています。私学のレーゾンデートル(存在理由)は『わが子のためにこんな学校があってくれたら良いのに』という親の想いの上に成立すべきものと考えているからです。本校は先輩たちが残した「子供思いの校風」で生徒たちの心を明るく染め抜いて育て上げてまいります。生徒評価の『ものさし』は多様であってかまいません。光るものひとつあればそれを核としてウイングを伸ばしてもらえればそれで良いと考えています。「優しさや」、「頑張りや」、「親孝行な心」はそれだけで立派な資質です。本校は人の心を育てあげる学園であり続けたいと思っています。

中学入試は大学入試とは異なります。精神的に自律した大学入試は自己の責任においてチャレンジさせることが原則ですが、中学入試はまだ子供時代の入試です。好きな学校に入って伸び伸びと育って、東大にでも、早慶にでも、好きな大学に余力を持って進めばよいだけのことです。今年「日比谷―駒込ー開成」の併願パターンの生徒が受験に来ました。 どこの学校に入っても彼なら志望大学に入れるでしょう!駒込中学も昨年4月「コース制」を導入しました。「国際先進コース」と「アカデミック・グローバル・スタディーコース」です。両者とも高校のコースに連動したコース設定です。中学の「国際先進コース」には英検準2級や2級取得者が受験して入学して来ています。小学生でも、もうそこまで来ている時代なのです。この生徒たちは高1で「国際教養コース」に進んでもらいます。この「国際教養コース」は「国際標準カリキュラム」を「イマージョン授業(英語で各教科学習を行う)」で受けて行きます。第2外国語のフランス語もオールイングリッシュで学んで行きます。また、数学や理科が得意なら高校の「理系先進コース」にも進むことが出来ます。この「理系先進コース」は国内で唯一アメリカの「STEM教育」を「埼玉大学STEMセンター」と提携して導入した「プログラミング授業」を中心に学習して行くコースです。去る11月には南三陸で行われた「世界STEM大会の合宿」で「レスキューロボットのプログラミング作り」を競い合ってきました。

21世紀は「IoTの時代」が必然化します。本校はすでに「全館WiFi化」を終了し、中1から高3まで全校生徒1800余名全員がタブレット端末を所持してICT授業を展開しています。また、次年度から導入される「デジタル教科書」の対応策も進め、さらには、3年後から始まるセンター試験に変わる「CBT入試=(CP上で解答や課題に答えて行くテスト)」への対応授業を開始していきます。

本校は比叡山研修(高1)の体験等を通して日本の伝統文化を継承しながら、同時に21世紀の「AI(人口知能)時代」対応の取り組みを先進的に展開していきます。受験戦争で燃え尽きる生徒たちではなく、自己肯定感をしっかりと持った、21世紀の日本に必要とされる「その場になくてはならない」有意な「一隅を照らす生徒」の育成に全力を傾注してまいります。大学は目的ではなく通過点です。「アジアの中の駒込」を「国際部」のスローガンとして、海外大学進学を視野に入れた留学制度をさらに充実させ、「世界に羽ばたく有為な若者」を世に送り出していきます。

今年、駒込中学は皆様方のご芳志を頂き、英検2級取得者を初めとする良き生徒たちに恵まれ、予定通り3クラス(109名)体制でスタートします。まことにありがとうございました。