Blossoms do not appear by themselves or fall for no reason.
花はひとり咲き ひとり散るのではない 『仏教聖典』より
お釈迦様はとてもやさしい方でした。「私たちが生を受けた今という時間を美しいものに変えていくことこそが『浄仏国土』への道である」とやさしく諭されています。
中高時代は「自我の覚醒期(青春時代)」の入り口です。清らかな泉のように湧き出る詩想、咲きかほる文藻の花々!これらを心の友として歩むことがとても大切です。たとえ、孤独な時間が訪れても、孤立することなく、同じように悩む友達に、虹色の「心の橋」を渡して、仲間と一緒に「今という時間」を美しいものに変えていって下さい。
君の夢を笑う者はいない!
本校の卒業生が次のように語ってくれています。「もし君が将来のことを決めかねているのなら、駒込学園に来るといい。ここには自由がある。東大を目指す者から、芸術の道に進む者、スポーツに青春を捧げる人までが、何にも縛られることなく自由に活動している。君の夢を支える人と環境がここにはある。多様性を認め合うこの学校には君の夢を笑う者はいない」と。…この生徒は在学中の3年間、硬式野球部で部活動を全うし、この春、筑波大学医学群医学科に進学しています。大正末期に天台宗中学から駒込中学に改めた時の本校学園顧問は、今NHKの大河ドラマの主人公になっている渋沢栄一子爵です。日本を近代化し、経済的に豊かな国を構築するために心血を注いだ方です。「日本資本主義の父」と呼ばれています。彼は論語と貨幣経済を融合した資本家でした。「お金はいくら儲けても良い。しかし、他者を豊かにするために、大きな志を立てて励みなさい」と訓育されています。本校が仏教系私学(天台宗立)として、自由な校風の下に、東大や早慶に進学する生徒や、芸大や音大や美大や体育大に進学する生徒を育てることは、何一つ矛盾しません。志の立て方ひとつで「人としての道」が決まるからです。「悪事を己にむかえ好事を他に与え、己を忘れて他を利するは慈悲の極みなり」を建学の精神とする駒込学園です。皆さんは「未来からの来訪者」として利他心を育て、「なりたい自分になってもらいたい」と念願しています。「学校がこんなに楽しくていいのですか?」と新入生の女子生徒たちが笑いながら質問に来ました。生徒は学校によって生きるのではありません。「学校の意味」によって生きるのです。したがって、学校には「悩める魂」に寄り添う「喜びと笑いと信頼に包まれた生の学校」があってもよいのです。駒込はその「生の学校=サンガ(僧伽)の学校」なのです。一言でいえば「心の学校」です。
Everything changes according to one’s own mind.
一切は心より転ず 『華厳経』より
緊急事態宣言が続いておりますが、学園は花と緑と笑顔で溢れています。
皆様もどうぞご自愛ください。
駒込中学校高等学校 校長 河合 孝允